吉祥寺駅前みずの皮膚科の痛み外来について
当院では、毎週日曜日に痛み治療を専門とする痛み外来を予約制で実施しています。
対象となる主な症状は、帯状疱疹後神経痛、ぎっくり腰や脊柱管狭窄症による腰の痛み、肋間神経痛などの背部痛、肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)、筋筋膜性疼痛症候群による肩こり、変形性膝関節症に伴う膝の痛みなどです。
他にも慢性的な痛みにも対応していますが、小児に生じる痛み、内科的疾患による腹痛、がんによる痛み、外傷による痛みなどは対象外となっておりますので、あらかじめご了承ください。
ブロック注射について
ブロック注射は、痛みを感じている部位に関連する神経の近くへ麻酔薬を注入し、痛みの軽減を図る治療法です。健康保険の適用対象で、外来で行うことができます。
首や肩、腰、手足、膝など、全身の様々な部位に対応可能です。
一般的に「麻酔薬の注射=一時的な効果」という印象を持たれがちですが、ブロック注射では、単に痛みを抑えるだけでなく、神経の過剰な興奮を鎮めることができます。痛みが続くと、神経が興奮し、筋肉の緊張や血管の収縮を招いて血流が悪化し、発痛物質が発生します。この物質がさらに神経を刺激することで痛みが増すという悪循環に陥ります。
ブロック注射によって神経の興奮が抑えられると、筋肉の緊張が緩み、血行が改善します。その結果、酸素や栄養が正常に供給されるようになり、老廃物も排出されやすくなります。これにより、麻酔の効果が切れた後も患部の状態が改善し、痛みの緩和が持続する好循環へと繋がります。
適応疾患
- 慢性的な腰痛
- 関節リウマチ
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 神経根症
- 坐骨神経痛 など
関節注射について
関節注射は、関節内に痛みの原因がある場合に行われる治療法で、特に変形性関節症や関節炎に効果が期待されます。関節包とは、関節全体を包む袋状の組織で、関節の動きを滑らかにしながら安定性を保つ働きを担っています。
この関節包内にある関節腔へ、ヒアルロン酸やステロイド、局所麻酔薬などを直接注射することで、炎症や痛みを抑えることができます。強い痛みがある場合でも、短時間での症状改善が見込めます。
関節注射は局所に作用するため、副作用は比較的少ないとされていますが、ステロイド注射では稀に全身性の副作用が生じる可能性もあるため、治療は医師と相談しながら進めていきます。
- ヒアルロン酸:関節の動きを滑らかにし、衝撃を和らげる作用があります。
- ステロイド:炎症を強力に抑え、腫れや痛みを軽減します。
- 局所麻酔薬:痛みを一時的に遮断する目的で用いられます。
適応疾患
- 肩関節炎・足関節炎
- 関節リウマチ
- 変形性関節症
- 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) など
トリガー注射について
トリガー注射は、痛みの原因となる「トリガーポイント」と呼ばれる筋肉内の硬結部位に対して、局所麻酔薬や生理食塩水を注入する治療法です。ツボのように感じるこのトリガーポイントに直接注射することで、痛みの緩和を図ります。
対象となるのは、首・肩・背中・腰・四肢など、筋膜や腱膜に起因する広範な部位の痛みです。
痛みを引き起こしている筋肉に直接アプローチするため、短時間で症状が和らぐことも多いですが、効果は一時的な場合があり、再発の可能性もあります。そのため、根本的な原因を解消するためには、リハビリテーションや生活習慣の見直しといった治療を併用することが重要です。
適応疾患
- 首の痛み
- 肩こり
- 慢性的な腰痛 など
ブロック注射・関節注射・トリガー注射の比較
| 項目 | ブロック注射 | 関節注射 | トリガー注射 |
|---|---|---|---|
| 対象部位 | 神経の近くにある領域 | 関節 | 筋肉内のトリガーポイント |
| 主な効果 | 神経の興奮を抑えて痛みの伝達を遮断 | 炎症を抑え、関節の動きを滑らかにする | 筋肉の緊張を和らげて血流を改善 |
| 即効性 | 高い | 高い | 高い |
| 効果の持続 | 数日から数週間程度 | 数日から数ヶ月程度 | 数日から数週間程度 |
| 主なリスク | 感染、注射部位の内出血 | 感染、注射部位の内出血 | 感染、注射部位の内出血 |
ブロック注射・関節注射・トリガー注射の流れ
1初診
初めてご来院頂く際は、まず問診票に症状やお困りごとをご記入頂きます。
健康保険証は必ずご持参ください。また、日頃から服用されているお薬がある方は、お薬手帳も一緒にお持ちください。紹介状(診療情報提供書)や他院で撮影された画像(レントゲン・MRIなど)をお持ちの方は、診察の参考となりますので、併せてご提出ください。
2保険証の提示について
ブロック注射・関節注射・トリガー注射はいずれも保険適用の治療です。受付時には保険証をご提示頂き、問診票へのご記入をお願いしております。
3検査および診療の実施
問診票の内容をもとに、医師が詳しく症状を伺い、必要に応じ血液検査などを行います。その結果を踏まえ、注射療法の適応があると判断された場合には、治療内容や効果・注意点などについて丁寧にご説明します。
治療は、患者様ご本人が内容を十分に理解し、同意された場合のみ実施いたしますので、ご不明点があれば遠慮なくご相談ください。
よくある質問
注射は痛いのでしょうか?
注射による痛みの感じ方には個人差があり、注射の種類や注入する部位によっても異なります。なかには強い痛みを感じるケースもありますが、当院では極細の針を使用し、痛みを最小限に抑える工夫を行っております。施術は経験豊富な医師が担当いたしますので、安心してご相談ください。
注射の頻度はどのくらいですか?
症状の程度や治療内容によって異なりますが、ブロック注射やトリガー注射は週に1回のペースで行うことが可能です。
関節注射については、ヒアルロン酸製剤であれば週1回を3~5回、その後は月1回程度が一般的な目安となります。ステロイド注射は副作用のリスクを考慮し、年に3~4回までに留めることが推奨されています。
注射後に痛みが強くなることはありますか?
ごく稀に、注射後に「フレア現象(反応性関節炎)」と呼ばれる一時的な炎症反応が起こり、痛みが一時的に強くなることがあります。ただし、多くの場合は1~2日以内に自然に治まります。
注射で関節そのものが治るのですか?
注射治療はあくまで痛みの緩和を目的としたものであり、関節の構造的な変形そのものを治すことはできません。痛みが軽減された後は、リハビリや筋力トレーニングを行うことで、関節機能の維持・改善を目指していく必要があります。
